「日本自動車殿堂」の活動に寄せて 鈴木 修氏
昨年度、第二回の「日本自動車殿堂」におきまして、自動車社会構築の功労者として名だたる功労者の方々とともに表彰いただきましたことを、大変光栄に存じ感謝しております。また、これからも自動車業界に携わってゆく人間の一人として、責任の大きさを感じております。
私は、常々「ものづくりは文化である」と申しております。ものを作るということは、ひとつひとつに「これを付けたら何ができるだろう」「何を付けたらより便利になるだろう」と、”知恵”を最大限に活用することと現場で”汗”を流し工夫することの積み重ねだと考えております。このように新しいものを生み出していくことが人間の生活であり、その生活こそが”文化”なのです。「アルト」、「ワゴンR」といった当社を代表する軽自動車も、現場における担当者たちの”知恵”と”汗”の中から生まれました。
そのような積み重ねの中で軽自動車は、小さく、経済的で、使い勝手がよいという特長に磨きをかけ、多くのお客様からご支持をいただいてまいりました。おかげさまで、その保有台数は2l00万台を超えるまでに発展してきたものと考えております。
一方、そのような「ものづくり」に対する考え方は、国内はもとより海外にも通じるものと思われます。インド、パキスタン、インドネシア、ハンガリーといった国々で私どもの製品が国民の生活に密着した日常の足として喜ばれております。同時に、それらの国々の産業振興にもお役に立てたものと考えております。
「日本自動車殿堂」の活動は、後世に「ものづくりの大切さ」を伝えることを趣旨とされております。その趣旨は、製造業立国として発展してきた日本の将来にとって今後とも大変重要な意味を持つとともに、私自身、強い感銘を受けるものであります。「日本自動車殿堂」の活動が、日本の「ものづくり」の更なる発展に寄与されることを期待します。
(2003年『JAHFA No.3』収録)